2008秋北東北(0) 長い長いイントロダクション

もともとは北海道に行くはずだったのだ

2008年の夏休みもまた、9月末にようやく取れることになった。
今年はツーリング用自転車が手元にある。
7月にようやく落成したツーリング用自転車ジラフ号。
2007年夏にオルベア・オニキスで北海道を走った経験から、
「北海道のダートに対応できる旅行用の自転車」というコンセプトに基づき、
ジラフにオーダーで製作してもらった、とっておきの自転車である。

今年は、これで北海道を気兼ねなく走れる。

そう思っていた。
 
 
 

消え行く北海道

だが、忙しい毎日を言い訳に、直前まで何の準備もしてこなかった。
直前になってから思い立って、ANAの特典航空券の空き状況をみてみた頃には、
予定の日程では釧路便、女満別便など道東行き航空券には空きがなかったのである。
走りたいのは根室方面だった。
正規の航空券を買えば、空席はまだたくさんある。
しかし、片道3万円を超える航空チケットを購入する資金的気力はない。

なお、わずかに残っていたのは、千歳便と稚内便のみ。
帰りの日程では千歳便と紋別便に空きがあった。

じゃあ、稚内に飛んで、紋別までオホーツク側を南下するのもよいかな。
猿払、浜頓別、枝幸、雄武と魅力的な地名が並ぶ。
ジンギスカンも食べたいなあ。

と思ってみたものの、9月下旬に道北の風向きを見ていたところ、猛烈な南風が吹いているようだった。
風速10mの向かい風の中、茫漠とした道北の大地を走るのはしんどい。
しかも、週末には北海道上空に猛烈な寒気が入り込むというではないか。

そんなことを考えていると、飛行機輪行の面倒さと相俟って北海道行きの気力が萎えてきた。
そうこうしているうちに、特典航空券予約期限の4日前を過ぎてしまった。

もういいや。
来年回しにしよう。
言い訳だらけであるが、そんなわけで、北海道行きを次回に回すこととした。
 
 
 

浮かんで消えた南信

次に考えたのが、南信地方である。
茅野から秋葉街道を南下して、浜松まで。
南信というと、JR飯田線沿いに伊那、駒ヶ根、飯田と小規模ながら都市が続いている印象があるが、
秋葉街道は、現在の人口希薄な地域を通っており、自転車旅行にはぴったりなようなのである。
自転車人の特集を読み、さらに訪れたい気分になっていた。

北海道がだめなら、南信にしよう。

そう思い、周囲にも「長野に行くかも」と話をしていた。

にもかかわらず、南信への旅も実現しなかった。
夏休み予定の9月下旬。
台風15号による秋雨前線は九州から関東までの全域を蔽い、
南信もまた、週間予報は雨、雨、雨、曇、雨であった。

南信への道程は、東京から至近でもあるので、何の予約もしていない。
雨が降ってしまっては、自転車旅行は成立しない。
(いや、人によっては成立するだろうけど)

というわけで南信への旅行も、この日程では実現しなかった。
 
 
 

それでは、どこに行くか

毎日、自宅起点で、5日連続ツーリングに行くか。
それはそれでチャレンジングな計画ではある。
でも魅力的ではない。
だいたい、東京も雨の予報なのである。

そうこうしているうちに、はや夏休みに突入してしまった。
初日はオケの演奏会に出演し、2日目はアコーディオンのコンサートを聴きに行ったので、決して暇ではなかったのだが、3日目からは何の予定もない。
アコーディオンのコンサートから帰宅して、本格的に、翌日からの予定を考えた。

また、天気予報に頼ることとした。
天気予報を見てみると、東北と北海道は晴れが多いようだった。
というかほぼ晴れの予報である。
 
 
 

急浮上の東北

東北地方か。
行ってみたい地域はある。
福島の土湯、高湯あたりの温泉である。
ユースホステルやとほ宿もあるようだ。
この付近を目指すか。
何しろ近いし。

と思ってみたものの、東京に近いということは秋雨前線の影響も受けるかもしれないということに気づいた。
福島では、雨が降るかもしれない。
それではどうするか。

そんなことを考えながら、ネットサーフィンをしていた。
ふと思い立って、以下のキーワードで検索をかけてみた。

「東北 一人旅 宿泊」

そうすると、乳頭温泉郷の鶴の湯温泉の宿泊記が出てきた。

鶴の湯ねえ……
秋田県は乳頭温泉郷の鶴の湯と言えば、秘湯の宿として超有名な宿である。

実は、鶴の湯には6年ほど前に宿泊予約をかけてみたことがある。
TTTTの千葉支部のO氏とT氏が宿泊された際の話をきいて、ぜひ泊まってみたいと思っていたのだ。
(話をきいたのは1995年のことだから、いまから13年前のことである)
だが、宿泊予約をかけてみたものの、満室で宿泊予約を受けてもらえなかった。
なので、その際には日帰り入浴のみで訪れたのみなのである。

どうせ、また満室じゃないのかな。
そう思ってみたものの、その宿泊記には「一人旅で当日予約で泊まれた」とあった。
直前キャンセルなどで空室が出ると、旅館側は空室を埋めるため、一人旅でも予約を受ける、
などとノウハウらしきものも記述されていた。

じゃあ、こうしよう。
1.とりあえず、どこにでも行かれるように、荷物のパッキングはしておく。
 (といっても、行き先は東北地方を睨んで防寒の用意をしておく)
2.翌朝、鶴の湯に電話をかけてみる。
3.だめなら、ユースやとほ宿に電話をかけてみる。予約できた宿に向かう。
 
 
という「万全の計画」で、その日は「もういいや、寝る!」とした。
(こう書いていて、本当に計画性ないなあ、と実感……)
 
 
計画性がないものだから、この旅行が、昨年に引き続き、過去を辿る旅になるとは、
この時点では予想していなかった。
 
 

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